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【書籍】マウス組織学

【書籍】マウス組織学

カラーアトラス著者:多田伸彦(東海大学健康科学部教授)
B5判・カラー・140頁
ISBN4-906514-50-2
定価:8,400円(税込9,240円)送料別

内容

マウスは多くの研究に広く用いられている哺乳動物である。ヒトと同様の臓器を有し、遺伝子構造が類似しており、また飼育が簡単であること、さらに遺伝的背景が明らかな近交系マウスが確立されていることなどが、幅広く利用されている理由であろう。たとえば免疫生物学、遺伝学、分子生物学、解剖学、発生学、腫瘍学、毒性試験等において用いられている貴重な動物である。それらの研究結果を確認するために、マウス臓器の組織切片を作製し、その標本を顕微鏡で観察する機会が多いと思われるが、マウスの正常組織を系統的に記述した参考書はほとんど見当たらない。ヒトの組織に似ていることも多いが、臓器によってはヒト組織像と大きく異なっていることに戸惑った経験のある研究者も多いであろう。

「組織学」の書物は数多く刊行されているが、すべて「ヒト組織学」であり、研究者は手探りで文献検索などを行い、目的とするマウス組織に関する知識を得ているのが実状であろう。当然のことながら、マウス組織学の研究は1910年代頃から活発になされており、1960年代にはほぼすべてのマウス臓器の解剖・組織が明らかになっている。決してマウス研究者が怠けていたわけではない。しかし、組織像をカラー印刷して、もっとも詳細に研究されているヒト組織に関する知見を加えて、マウス組織学の教科書を作る努力は不十分であったと思われる。

本書は、顕微鏡写真を中心とした図譜(アトラス)であるが、必要と思われる部分には十分な説明を加えた。また、一部の臓器に関して詳細に記述した出版物がすでに存在する場合には、写真および説明を簡略化した。マウスの組織像を解説したが、ヒト組織学・解剖学の書物を同時に読んでいただければ一層理解が深まると思われる。

目次

第1章 皮膚(skin)
  1. 表皮(epidermis),真皮(dermis),皮下組織(subcutaneum)
  2. 体毛(hair)
  3. 体毛の色(coat color)
  4. 脂肪組織(adipose tissue,fat tissue)
第2章 造血組織(hematopoietic tissue),リンパ組織(lymphoid tissue)
  1. 骨髄(bone marrow)
  2. 脾臓(spleen)
  3. リンパ節(lymph node)
  4. パイエル板(Peyer’s patch)
  5. 胸腺(thymus)
第3章 骨(bone),関節(joint),骨格筋(skeletal muscle)
  1. 骨(bone)
  2. 軟骨(cartilage)
  3. 骨格筋(skeletal muscle)
  4. 関節(joint)
第4章 呼吸器系(respiratory system)
  1. 副鼻腔(accessory sinus)
  2. 気管(trachea)
  3. 肺(lung),気管支(bronchiole)
  4. 胸膜(pleura)
第5章 循環器系(circulatory system)
  1. 心臓(heart)
  2. 冠血管(冠循環coronary circulation)
  3. 大動脈(aorta)
  4. リンパ管(lymphatic vessel)
第6章 消化器系(digestive tract)
  1. 口唇(lip)
  2. 舌(tongue)
  3. 歯(tooth)
  4. 唾液腺(salivary gland)
第7章 消化管(alimentary canal)
  1. 食道(esophagus)
  2. 胃(stomach)
  3. 十二指腸(duodenum)
  4. 空腸(jejunum),回腸(ileum)
  5. 大腸(colon)
  6. 横隔膜(diaphragm),腹膜(peritoneum)
第8章 肝臓(liver),胆嚢(gallbladder),膵臓(pancreas)
  1. 肝臓(liver)
  2. 胆嚢(gallbladder)
  3. 膵臓(pancreas)
第9章 腎臓(kidney),尿管(ureter),膀胱(urinary bladder)
  1. 腎臓(kidney)
  2. 腎盂(renal pelvis),尿管(ureter)
  3. 膀胱(urinary bladder)
第10章 雄性生殖器(male reproductive organs)
  1. 陰茎(penis)
  2. 包皮腺(preputial gland)
  3. 精巣(testis)
  4. 前立腺(prostate)
  5. 精嚢腺(vesicular glands)
  6. 精巣上体(epididymis)
第11章 雌性生殖器(female reproductive organs)
  1. 子宮(uterus)
  2. 卵巣(ovary)
  3. 卵管(uterine tube)
  4. 妊娠時の子宮(gravid uterus)
  5. 乳腺(mammary glands)
  6. 胎盤(placenta)
  7. 胎児(fetus)
第12章 内分泌器官(endocrine organs)
  1. 副腎(adrenal gland)
  2. 甲状腺(thyroid gland)
  3. 副甲状腺(parathyroid gland)
  4. 下垂体(pituitary gland)
第13章 神経系(nervous system)
  1. 大脳(cerebrum)
  2. 小脳(cerebellum)
  3. 脊髄(spinal cord)
  4. 末梢神経(peripheral nerve)
第14章 特殊器官(specific organs)
  1. 眼(eye)
  2. 涙腺(lacrymal gland)
  3. ハーダー腺(Harderian gland)
  4. 眼瞼(eye lid)
  5. 耳介(auricle)
  6. 内耳(inner ear)
  7. 下肢(lower extremity),爪(nail)
  8. 尾(tail)
第15章 ヌードマウス(nude mouse)
  1. 脾臓(spleen)
  2. 皮膚(skin)
第16章 マウス腫瘍(mouse tumor)

参考図書
カラーアトラス 図1~254

※講師の所属は開催日時点のものです。